日程・行程

2007年7月21日(土) 雨のち曇り

ゲート⇒取り付き⇒2,128m地点⇒小日影山⇒2,128m地点⇒除山⇒2,128m地点下部⇒ゲート

記録

昨年8月に塩見岳手前の雪投沢のテント場で宴会して仲良くなった藪山スペシャリストの旅人さん(以後師匠と記載)とメールでやり取りを行い、藪山(登山道が無い山)に同行させて頂く事となった。場所は南アルプスの烏帽子岳~荒川岳間にある大日影山の西方に聳える「小日影山」と「除山」である。
正直、烏帽子岳~荒川岳間を歩いた事すらなく、大日影山の山名すら知らなかったため、小日影山の名前を知る由もない。こちらは一般登山道しか歩いた事がない一般登山者、師匠は道無き道を登る藪山スペシャリスト。どのジャンルのスポーツでも最初は先生に頼り基礎を覚えるものである。という事で今日は一日師匠に胸を借りて藪山を勉強させてもらう事となった。

【05:45 ゲート】

某駅で拾ってもらい、そこから約4時間車を走らせて大鹿村にある、荒川小屋南に位置する大聖寺平へ続く登山口のゲートに到着。登山準備をしていると、まだ雨は降っていないが師匠は雨具の下とスパッツを履いているので、真似して同様の格好で登る事とする。恐らく藪漕ぎで朝露でズボンを濡らさないためだろう。ちなみに、このゲートから大聖寺平までは地図タイムで7時間20分で、案内板には途中で渡渉を20回繰り返すと書いてあった。近年、アプローチの長い登山道は敬遠される嫌いがあるが、よく考えると静岡側の椹島を基点に荒川岳・赤石岳を縦走した場合は2泊3日、このゲートから荒川岳・赤石岳各山をピストンしようとすれば、足の速い人なら1泊2日で歩けるだろうから、使いようによっては貴重な登山口だ。

【06:03 滝と梯子】

15分程林道を進むと、大きな滝が左手に見え、そこにはアルミの梯子が立てかけてあった。ここが取り付きかと思うが、梯子を登った先の道が不安定であるため、ここから少し戻って取り付き点を探す事とした。

【06:07 取り付き点】

滝から来た道を少し戻ると、師匠が取り付き点を発見し、ここからまずは2,128mの稜線まで続く急傾斜の尾根を登り始める。

【06:35 急傾斜を登る】

道の無い急傾斜の尾根をジグザクに延々と登る。もっと下草があっていやらしい尾根かと思ったが、急傾斜ではあるが登りやすい尾根で一安心だ。

【08:34 2,128地点】

標高差約1,000mを無休憩で登りきると、分岐点の2,128m地点に到着。師匠のワンピッチが2~3時間である事は事前に知っていたので、遅れずに迷惑かけずに済んでほっとする。ちなみにこの時点で僕は水を500ml消費、師匠は1滴も水を飲んでいない。師匠は汗を余りかかないらしく、喉もそんなに渇かないそうだ。師匠の体は
無駄な脂肪が付いておらず、山に登るために出来ているようなものなので非常に羨ましい。
僕も冬には最大73kgあった体重を6kg落として現在は67kg。ベストな体重まではあと7kgも落とさねばならず先が長い・・・。

【10:30 小日影山】

2,128m地点から東に伸びる尾根を進み、まずは約300m程シャクナゲが混じる低木の藪漕ぎ。
登りでは師匠とペースを合わせる事ができたが、藪漕ぎとなるとこちらはアタフタしてしまい、どんどん師匠との距離が離れてくる。師匠と距離が離れないように必死にもがきながら藪を漕いで進む。ちなみに師匠曰くこの藪漕ぎは藪漕ぎレベルでは「序の口」だそうだ。藪漕ぎが終わると右手に岩壁が見えてきて、ここから本格的に小日影山への登りが始まる。尾根の左を巻いたり
、尾根上に直登したりしながら高度を稼いでいると、山頂が近い事を察知した師匠が僕を先にピークに立たせるために先頭を譲ってくれた。しかし、藪の中の道を探せずにアタフタしているうちにまた師匠が先頭となり、そうこうしている内に小日影山の山頂に到達してしまった(笑)。師匠と山頂
でミッションコンプリートの固い握手をし、やった、これでついに僕も藪山の1座をゲットだ。この藪山の世界には今すぐにのめり込むとは思えないが、一通り登りたい山に登ってしまった後には恐らく僕にはこの
藪山の世界が待っているだろう。小日影山には登山道は無いため、山頂標識など存在せず、三角点と木の枝に赤布が2本巻かれているだけの山頂だった。雨は降っているが中々来る事がない山のため、記念にパノラマ写真を撮影。恐らくこの山の山頂でパノラマ写真を撮影
するのは僕が最初で最後だろう。
晴れていれば木々の合間から南アルプスの秀峰が見られるのだろうが、今日は生憎の雨模様で展望はゼロ。とは言っても天気が悪い事は事前に知っていたし、達成感で一杯なのでそんなにがっくりする事はなかった。

小日影山のパノラマ写真を見る

【2,128m地点】

小日影山から再び2,128m地点に戻り、ここで休憩+下山ルートに関して協議。除山をピストンして往路と同じルートを使って下山するか、除山を経由して除山の西側にある尾根を使って下山するかで迷うが、除山から西に向かう尾根には危険な岩場の箇所がある
という事前情報があるため、安全を期して往路と同じルートを忠実に下る事とし、除山に向かう。

【13:01 除山最高地点(2,043m)】

2,128m地点から一度1,990mの鞍部まで一旦下り、標高差約50m程登り返すと除山の最高地点に到着。山頂には小日影山同様に山頂標識は存在せず、山頂標識の代わりに木に赤い絶縁テープが巻かれており、山名と登頂日付が書かれていた。ちなみにこの絶縁テープは師匠の知り合いが付けたものだそうだ。この後は、再び2,128m地点付近に戻り、
往路と同じルートを疲労がたまった足で何度もコケながら下山。途中の林道で汚れたスパッツや靴などの汚れを落とし、無事に怪我無く車を置いてあるゲートに到着。
いやはや、初藪山を無事に下山できて本当にほっとした。これも師匠のお陰で、ありがとうございました。

【小渋温泉赤石荘】

下山後は、師匠が以前入れなかったという「小渋温泉赤石荘」で一風呂浴びる。雨の中登り、体中濡れて寒かったので、風呂に入った瞬間は本当に極楽気分だった。それと今日一日歩いて2kg痩せていたのでこれまた気分が良い。風呂は晴れていれば前茶臼・奥茶臼岳の展望が望める露天風呂のみで規模は小さいが、綺麗でとても心地の良い温泉だった。

【高遠城】

風呂から上がった後は、師匠も僕も大好物である蕎麦を食べるために高遠町に車を走らせるが、その前に城好きの僕からのお願いで高遠城に寄り道してもらう事とした。到着した高遠城は小高い丘の上にあって敵の襲来を見通せる造りとなっており、空堀も多数でかなりの規模の縄張りだった。本丸跡には城郭は残ってはいないが(近くに美術館のインチキ櫓は立っていたが)、無理に城郭を作らずともこれはこれで雰囲気があって僕の中では十分な城見学だった。

【高遠そば-華留運(ケルン)】

師匠が寄った1軒目の蕎麦屋は既に業務時間終了。町の中心部に車を走らせ、「高遠そば-華留運」で蕎麦を食べる。

高遠そば(大盛)は、蕎麦が2枚でボリュームはたっぷり。胡桃の汁と普通の醤油ベースの汁が用意されていて、醤油ベースの汁には辛味大根や焼き味噌を入れて食べる。正直僕は何を食べても美味いので、参考にはならないだろうが、美味しい蕎麦だった。

店内は、沢山の南アルプスの写真や何故か甲斐駒ヶ岳の山頂標識などがあり、山好きにはたまらない空間だ。よくよく話を聞くと、店の中に居た蕎麦屋と関係があるだろう男性はこの付近の山岳救助隊の副隊長であり、この店内の空間も納得だ。師匠と副隊長は山の話で相当盛り上がり、終いには地元で取れた極太キュウリのモロキュウが無料で出てくるは、「塩漬けした鹿の足が一本余っているから持って帰るか?」などという話になり、相当盛り上がっていた。

この後は、師匠に茅野駅まで送ってもらい、スーパーあずさに乗って東京に戻った。

師匠、初藪山デビューさせて頂き、ありがとうございました!