日程・行程

2003年4月29日(土) 晴れ

芦ヶ久保駅-二子山-武川岳-生川-横瀬駅

記録

「今年の夏は富士山に登るのだ!」とテニス仲間達と予定を立てるも、山登りをした最後の記憶が小学生時代にまで遡るため、本当に日本最高峰の富士山の山頂に辿り着けるのか非常に不安になる。まずは富士山に登る前に、「現在の自分の脚力を確認する必要があるだろう」と思い、自宅から比較的近い低山に登って脚力を確認する事にした。登る山は昭文社の「奥多摩・奥秩父を登る」という本で紹介されていた二子山と武川岳を選択。本には体力と技術の項目が3つ星で評価されており、今回選択した二子山・武川岳の行程は体力の星が2つ、技術の星が1つだ。初めての登山で体力の星が2つと不安ではあるが、毎週テニススクールをしていて体力には自信があるので問題ないだろう。

西武池袋線の芦ヶ久保駅で下車する。芦ヶ久保駅前は人気が無く、売店が幾つかあるだけの寂しい駅だ。地図を見ると、登山口が駅の付近にあるはずなのだが見当たらない。売店のおばちゃんに聞いてみると「あっちにあるけど、物凄く急な登りよ」と教えてくれた。早速おばちゃんに教えて貰った通りの駅右手の方向に進み、トンネルを潜ると二子山の登山口に到着した。

新緑の木々が美しい二子山の登山道を登り始める。売店のおばちゃんが言っていた通りで、登山道の傾斜は急である。ペースなど何も気にせずに調子に乗って登っていると、1時間程で息が乱れてきて早速バテバテになる。スローペースで歩いていると、自分よりも更にペースの遅い外人の男性と日本人の女性のペアが前に現れ追い越す。辛いのは皆一緒のようで、2mはあろうかと思われる外人の男性も長い足を重そうに上げて何とか登っているといった感じだ。それにしてもそろそろ二子山に着くはずだが登っても登ってもなかなか着かない。余りにも頂上が見えてこないので、「暑くてシャツは汗でビチョビチョだし、登りは辛くて疲れるし、最悪だ!」と思い始める。最悪な気分でイライラしながら登ると、やっと二子山に到着した。

登山道は新緑の木々が美しい。
登山道は新緑の木々が美しい。

二子山の山頂で待っていたのは、武甲山や秩父市街を一望できる180度の大パノラマだ。素晴らしい風景を見てさっきまでのイライラした気持ちはどこかに吹き飛んでしまった。山頂の斜面で秩父市街を望みながら昼食のオニギリを食べると、最近食べたどんなご飯よりも美味しく感じた。山頂からの素晴らしい展望、登山道で出会う新緑の木々や草花、それに美味しいご飯。これが目的で皆山に登るのだろう。二子山の素晴らしい展望をもっと見ていたいが、この先まだまだ行程が続くので昼食と写真撮影を早めに済ませ、武川岳へと目指す。

二子山のパノラマ写真を見る

二子山山頂は180度の大展望だ。
二子山山頂は180度の大展望だ。

素晴らしい風景を見て心が和み、美味しいご飯を食べてお腹が一杯になり最高の気分だったが、登り始めて数分でまた「辛い、最悪だ!」という気分になる。一度このような気分になると必然的にペースは落ちてダラダラと歩くようになる。ダラダラ歩いていると、さっき追い越したペアに追い抜かれてしまった。見た目でかなり歩くのが遅いペアに抜かれたという事は自分は更に歩くのが遅いのだろう。行き交う中高年の登山者達が普通に歩いている登山道だというのに、20代の僕ときたら、どっぷりと汗をかいてヒーヒー言いながら登山道を歩いている。何とも情けない。体力には自信があったが、それは過信である事に気付き妙に悲しくなる。急な登りを何とか登り切ると武川岳に到着した。

武川岳の山頂は木々に覆われていて余り視界は良くない。パノラマ写真が好きな僕には全くもってつまらない山頂である。このままではこの山は僕にとって何の思い出が無い山となり、記憶から消えるのも早いだろう。それも何か悲しいので、この山の何か良いところを見つけようとしたところ、「あった!」、山頂から谷筋を眺めると、かなり遠くではあるが山の斜面に咲く山桜を見る事ができた。地上では既に咲き終わった桜であるが、山桜は今が最盛期のようだ。

山の斜面には山桜が咲いていた
山の斜面には山桜が咲いていた

帰路は登ってきた道をそのまま引き返す予定だったが、横瀬駅方面に下る下山道を発見する。同じ道を下って帰るよりも変化があったほうが楽しいだろう。という事で横瀬駅方面の下山道を選択。それにしても下りは凄く楽だった。登りではたった一歩のその一歩が前に出ずに苦しんでいたのに、下りは重力に任せると自然に足が前に出る。駆け走るように道を下ると大持山への分岐点である妻坂峠に到着。大持山に登りたい気持ちはあるが、初めての登山で疲れた僕の足では下る事は出来ても登るのは無理である。下山を選択し、ひたすら駆け走ると武甲山登山口の生川に到着した。

横瀬駅付近から見た武甲山。採掘により山頂が41mも低くなったそうで、何とも痛々しい。
横瀬駅付近から見た武甲山。採掘により山頂が41mも低くなったそうで、何とも痛々しい。

ここからあとは横瀬駅に向かうだけなのだが、地図を見ると横瀬駅まで1時間30分と記載されている。生川にはバス停が無いため、横瀬駅まで徒歩で歩くしかないのだ。これが今回の行程で一番辛かった。初めての登山で疲れた足には約6kmの歩道歩きがとても応えたのだ。石灰石採掘場を通り過ぎ、石を積んだ何台ものトラックに排気ガスを吹きかけられながら車道をひたすら歩く。横瀬駅に到着する手前で後ろを振り返ると、今日登ってきた山々と武甲山が遠くに見えた。自分の足であの山に登り、あんな遠いところから歩いてきたのかと思うと「俺って何て凄いんだ!」と自己満足を覚える。自己満足に浸りながら駅への道をひたすら進むと無事横瀬駅に到着した。

初めての登山の感想は「疲れた」、この一言に尽きる。ちなみに自分の脚力では富士山どころか2,000m級の山でも辛いだろう。「まだまだ修行が足りない、修行あるのみだ!」という事で帰りの電車の中で「奥多摩・奥秩父を登る」を読みながら、今度はどの山に修行に行こうかと思案するのであった。