日程・行程

2004年4月29-30日

1日目:弘前バスターミナル-岩木山神社前-姥石-岩木山山頂(小屋泊)
2日目:岩木山山頂-スカイライン八合目売店-嶽温泉-弘前バスターミナル

1日目の記録

ゴールデンウィークに実家の北海道への帰省のついでに津軽の明峰、岩木山に登る事とした。調べてみると岩木山は山頂直下まで有料道路が延びており、楽に山頂に辿り付ける山であるとの事だ。いつもなら楽を選ぶ僕であるが、日程に余裕があるため、麓の岩木山神社から山頂を目指す事とした。

夜行バスの中で迎えた朝、裾野が広がる岩木山を見て車内の人達も大興奮だ。津軽富士とは良く言ったもので、津軽平野に聳え立つ独立峰の岩木山は、富士山にも劣らない存在感で雄大だ。あの雄大な山の頂に数時間後に立つ事を想像すると思わず興奮してしまった。

弘前バスターミナルに到着し、嶽温泉行き8:15発のバスに乗り換え、登山口の岩木山神社前のバス停で下車する。「奥日光」とも称されている立派な岩木山神社で登山の無事を祈り、神社横の登山道を進む。一度車道に出て岩木山桜公園内を通過すると、百沢スキー場のレストハウスに到着し、レストハウス横の砂利道を進むと岩木山が見え始め、やっと登山道らしい樹林帯の道になってくる。「熊出没注意」の看板を過ぎた辺りから本格的な登山道となるが、残雪の多さにびっくりだ。インターネットの掲示板で地元の方々に登山道の残雪状況を確認したところ、「登山には問題無し」との事であったが、よく考えると岩木山は各方面に登山道が整備されており、どの登山道が問題無いかを確認していなかった。残雪はあるが登山道には雪は積もっていないだろうとタカをくくっていたのが間違いだったようだ。という事で登山人生初めての残雪の山に、念のため持ってきておいた軽アイゼンとスパッツを足に取り付けて、挑む事となった。


岩木山神社より岩木山を望む


登山道より岩木山を望む

残雪の登山道を登り始めるが、最初は大した事は無かったのだが、やはり標高が上がれば上がるだけ残雪の量も相当だ。一歩進むごとに足が雪に埋まってしまい、太股まで雪に埋もれてしまう個所もあり、スノーシューが喉から手が出るほど欲しい道だ。ちなみに足に取り付けてあるアイゼンは全く意味が無く、気休め程度の効力しか働いていない。木々により展望の利かない道を足を取られながら我慢して登ると「カラスの休場」に到着。恐らく雪が無ければベンチなどに座って休憩できるのであろうが、全て雪の下だ。雪の上に座るとお尻が濡れるのでそのまま休憩せずに登る。引き続き雪に足を取られながら登り続けると「姥石」に到着。ここで、岩の頭らしきものが雪に埋もれず地表に現れてるのを発見する。岩の頭らしき部分には五円玉が数枚置かれていたので、恐らくこれが姥石なのだろう。尚、後で調べたところ姥石は幅が1.3m、高さが1.8mの大きさとの事なので、姥石付近は相当の残雪が残っていたようだ。

姥石のパノラマ写真を見る

姥石から焼止りヒュッテまでの道は迷いに迷った。登山道が雪に埋もれていて見えないため、ルートを示す木の枝に結ばれている赤いビニール紐を頼りに進んでいたのだが、途中でビニール紐を見失ってしまったのだ。明らかに正規のルートではない沢山の木々に覆われたエリアをひたすら登っていると、遠くに鮮やかな色のウェアを着ている単独行の山スキーヤーを発見し、何とか正規のルートに戻る事ができた。恐らくこの方がいなければ間違った方向に進んでしまい、山頂に辿り着く事は出来なかったであろう。山スキーヤーをマークし、再び山頂を目指すが、1歩進むごとに雪に埋もれてしまう僕と、スキーの滑走面に滑り止めのシールをつけて進む山スキーヤーのペースは兎と亀ほど違う。あっという間に山スキーヤーと僕との距離は離れ、山スキーヤーが残してくれたスキーの軌跡通りにひたすら進むと、焼止りヒュッテ付近に到着した。

百沢コース登山道のパノラマ写真を見る


登山道ではない急斜面を登る。一歩歩く度に半歩ずり落ち、非常に疲労が溜まる。


急斜面を滑降する山スキーヤー

本来なら右手に見える焼止りヒュッテの前を通り、沢沿いの道を登り、山頂を目指すのが正規のルートである。しかしながら雪に埋もれた沢沿いの道には竹棒を 2本使って×印を形取った立ち入り禁止の目印があったため、そちらには入らずに普段は登山道としては使われていない急傾斜を直進して山頂を目指す事とする。急傾斜には下山者が踏み固めてくれた足跡があり、これを利用して山頂を目指す事が出来たので助かった。後ろを振り向くと一緒に登ってきていた山スキーヤーがシュプールを描いて下山していく姿が見え、何とも気持ち良さそうで羨ましい。

それにしても物凄い急傾斜で、横を向いて斜面を見るとかなりの角度がありそうだ。一度足を踏み外すと一気に下まで滑落してしまいそうで、今年の冬に起きた積雪期の富士山の滑落事故のニュースを思い出す。慎重に前に進んでいると、一歩踏み出すのに必死にもがいている僕を横目に山スキー軍団が気持ち良さそうに滑走して行く。しまいには「クラックだー!、気をつけろー!」と叫んでいたので、 雪崩の危険を感じるが、既に斜面を登りきっていたので助かった。斜面を登りきると岩木山山頂の直下にある鳳鳴ヒュッテに到着。

鳳鳴ヒュッテのパノラマ写真を見る


鳳鳴ヒュッテ前より岩木山山頂方面を望む

鳳鳴ヒュッテから山頂までの道は岩場の登りとなっている。岩場には雪が積もっていないため、アイゼンを外して登る。一度平坦な道となり、閉鎖された小さな小屋を過ぎると再び登りとなり、疲労困憊で重い足を何とか動かし登り切ると、岩木山神社から6時間程で山頂に到着した。岩木山の山頂からの眺めは良く、日本海に八甲田山方面も望むことが出来る360度の大パノラマだ。パノラマ写真愛好家の僕としては、「これを撮らずして何を撮る」と言わんばかりにパノラマ写真撮影を堪能した。

岩木山のパノラマ写真を見る1岩木山のパノラマ写真を見る2岩木山のパノラマ写真を見る3

岩木山からの展望。日本海に八甲田山、白神山地方面も見える最高の展望所だ

写真を撮り終えると、次に僕に待ち受けていたものは寝床と水の確保だ。別に日帰りでもよかったのだが、せっかくここまで来たのだから避難小屋に泊まり、岩木山山頂からの朝日でも眺めようと思ったのだ。避難小屋の扉の半分までは残雪が残っていたが、扉は押戸であるため用意に小屋内に入る事ができた。小屋の中に入るとジメーっとしており、まるで洞窟の中にいるような錯覚にとらわれたが、何とか銀マットを敷いて寝床を確保する事ができた。初めて山小屋に泊まるのだが、一人で泊まるのはお化けが出そうで何とも心細い。テントで寝ようかとも思ったが、小屋の暖かさを味わってしまった以上、今更テントも張れず結局、 2kgの枕として活用する事となった。水の確保であるが、岩木山唯一の水場「錫杖清水」は残雪に埋もれ水を確保出来なかったため、余っている水を飲み水に当て、レトルトカレー等を暖める際に使う水については山頂の残雪をコッヘルで溶かして確保した。夕食を食べ終え、ラジオでプロ野球中継を聞いていると疲れていたのか、19時には寝てしまった。


絨毯は濡れており、天井から水が滴り落ち、小屋内は洞窟のようだった

2日目の記録

翌朝5時に起き、外に出てみると朝日は無く雲でどんよりとした天気だ。写真を撮る意欲も失せ、「こんな事なら昨日下山して嶽温泉にでも泊まればよかった」と思うが、今更言ってももう遅い。時間に余裕もあるのでニ度寝し、8時に小屋を出発。誰もいない鳳鳴ヒュッテと岩木山火口を通り過ぎると、営業を開始したリフト乗り場に到着。リフトで下まで行けるのだが、自分でも降りられそうな斜面があったため、人力で雪の斜面を下りスカイライン八合目の売店があるリフト乗り場まで向かう。途中何度も転んだり、膝まで埋まる残雪に足を取られつつ下ると、あっけなくリフト乗り場に到着。帰りはバス(嶽温泉乗換え)で弘前駅前に向かい、津軽海峡線に乗って北海道の実家に帰省した。

岩木スカイライン八合目のパノラマ写真を見る


岩木山の火口(らしい)