日程・行程

2003年11月15日

矢倉沢バス停-矢倉岳-足柄万葉公園-金時山-金時神社入口バス停

記録

ここ最近気分が下降気味なので、元気を取り戻すために富士山を見たくなった。今までも富士山を見に旅に出た事はあるが、天候に阻まれず裾野が広がる雄大な富士山というのは見た記憶がない。静岡の日本平や三保といった富士山のビュースポットに行こうかと思ったが、登山の魅力を知ってしまった今となっては観光という選択肢は無く、山に登って山頂から富士山を眺めたい。早速、最近買った山と渓谷社の「富士山の見える山ベストコース」という本で、山頂から富士山を望める事が出来る山を探したところ、神奈川県の箱根にある矢倉岳と金時山がリストアップされた。富士山というと静岡県や山梨県というイメージがあるが、写真を見る限りこの両山の山頂から見る富士は見事だ。箱根からも富士の絶景を眺める事が出来る事を知り、矢倉岳と金時山に登る事にした。

品川から新幹線に乗り、小田原に向かう。車内には「ビーアンビシャース、我が友よ~、冒険者よ~」と新幹線のCM曲であるTOKIOの「Ambitious Japan!」が流れており、この歌は僕の最近のお気に入りなので気分はノリノリだ。小田原駅で大雄山線に乗り換え、終点の大雄山駅で下車。大雄山駅前は金太郎の銅像とタクシーの運転手以外誰もおらず、何とも寂しい駅前だ。矢倉沢行きのバスに乗り換え、矢倉沢で下車する。

空を見上げると、天気予報では晴れと言っていたが、殆ど雲で覆われており、幸先不安だ。天気が良くなる事を期待してミカン畑とお茶畑が横にある登山道を進む。それにしても休憩も取らずにひたすら登っているが、富士山が見えてこない。方位磁石を見ると、登っている方向は西だ。地図を見ると富士山は矢倉岳の西にあるため、頂上まで行かないと富士山は見られない事がわかる。という事で富士山は頂上までお預けとなり、富士山見たさに頑張って登ると矢倉岳に到着した。


矢倉岳山頂から富士山方面を望む。雲に隠れて裾野すら見えなかった。

足柄峠に向かう道の途中から見た矢倉岳。
足柄峠に向かう道の途中から見た矢倉岳。

ついに富士山とのご対面である。しかし山頂で待っていたのは富士山ではなく雲ともの凄い強風だけであった。頂上には小さな展望台があり、晴れていれば西に富士山、南に駿河湾という360度の大展望を望めるだろうが、雲に隠れて何も望めない。とりあえず展望台に登ってみると、富士山がある西側は雲により展望は望めないが、南側はまだ雲がかかっておらず駿河湾が見える。駿河湾方面だけでもパノラマ写真を撮ろうと三脚を立てるが、手を離すと三脚が倒れてしまう程の強風であったため、撮影は断念した。天候が回復するかと思い、30分程粘ってみたが30分やそこらでこの分厚い雲が無くなるはずはなく、逆に天候が悪くなってしまったため、写真を諦め、次の金時山に向かう。

矢倉岳から足柄峠までの間の道幅が狭い個所で20人程の大パーティーに3組も出会い、道を譲る。各パーティーの構成は老若男女様々で皆元気そうだ。単独行の僕を先に通してくれるかと思ったが、結局50人以上の人に元気に「こんにちは!」「すいません!」と挨拶され、正直少し疲れてしまった。40分程下ると、万葉集の歌碑がある足柄万葉公園に到着。この公園は足柄道が万葉集に多く詠まれた事に由来して作られ、17の万葉の歌を綴った石碑が点在しているという。試しに一つの石碑と歌が記載されている看板を見てみたが、教養の無い僕には全く理解が出来ない歌であった。

万葉集の看板と石碑。
万葉集の看板と石碑。

足柄万葉公園から更に10分程下ると、足柄峠に到着。足柄峠付近には足柄関所跡があった。教養が無い僕ではあるが、歴史は大好きなので、こちらには興味がある。看板には「入鉄砲に出女」についての説明や、碓氷峠と並んで関東初の関所とある。「ふむふむ、信長・秀吉は商品流通の妨げになるとして関所を廃止したのに対し、家康は江戸幕府の防衛のために全国53ヶ所に関所を設けたのか」。ちなみに足柄峠だが、神奈川景勝50選にも選ばれており、看板には「富士山が日本一高く見えるところ」と書いてあるが、あいにくの曇り空で展望は望めず残念だ。

足柄関所を後にし、30分程進むと駐車場がある金時山登山口に到着。登山口から先は車が通れる程の広さの林道が続く。20分程歩くと丸鉢山に到着。丸鉢山は看板が無ければ気付かない程の山だ。それにしても相変わらず富士山は見えない。あの低い雲の先に富士山が聳え立っているのは分かっているのだが、どう願ってもどう待っても雲は取れてくれない。さすがにここまで来ると諦めの気持ちが強くなる。「まぁこんな日もあるさ」と自分を慰め、次回の山旅のためのトレーニング登山に気持ちを切り替える事にする。丸鉢山からはやっと登山道らしくなり、霧の中、アルミ製の梯子やロープで急な傾斜を登ると、40分程で金時山に到着した。


登山道から富士山方面を望む。

金時山の山頂は、これでもかという位の人の多さだ。金時茶屋の中も外のベンチも岩肌の斜面も人だらけで、腰を落ち着けるスペースなど一切無い。余りの人の多さにさっさと昼食を終わらせ下山しようとすると、カメラが無い事に気付く。昼食の際に使ったテーブルの上などを探したがどこにもカメラは見つからない。旅の際にいつも持ち歩いている思い出深いカメラであるため、最悪の事態を考えて少し焦る。金時茶屋に忘れ物として届けられていないかと思い、茶屋の従業員に確認してみたところ「ありますよ~」と回答が帰ってきたので一安心だ。話を聞いてみると、茶屋内に置きっ放しになっていたそうだ。よく考えると、山頂に到着してすぐに茶屋でお茶を買った際に置き忘れていた事に気付く。カメラを引き取り、従業員にお礼をして金時山を後にする。

金時山を10分程下ると、金時神社入口への分岐に辿り着く。当初の予定ではこの先の明神ヶ岳や明星ヶ岳にも登る予定であったが、どの山に登っても富士山が見えない事は分かりきっていたので諦めて下山する事とする。40分程下ると金時神社入口バス停に到着した。

少しでも長い時間富士山を眺めていようと思い、新幹線まで使って来たのだが、残念ながら富士山は望めなかった。人間上手くいかない時は何をやっても上手くいかないものだ。こんな時は気持ちを入れ替えて次回に期待するしかない。ちなみに僕は諦めが悪い性格をしているので、意地でも富士山を望みたくなってしまった。「富士山の見える山ベストコース」にはまだまだ富士山を望める山が沢山紹介されているので、これで次も富士山を望む山行に決定だ。