登った山

北岳(3,193m)

日程

2008年1月1日(木)~2009年1月4日(日)

行程

1日目 : 夜叉神峠→鷲住山→池山吊尾根登山口→池山御池小屋(小屋泊)
2日目 : 池山御池小屋→城峰→ボーコン沢ノ頭→標高2700m地点に戻る(テント泊)
3日目 : 標高2700m地点→ボーコン沢ノ頭→八本歯のコル→北岳→八本歯のコル→ボーコン沢ノ頭→池山御池小屋→池山吊尾根登山口(テント泊)
4日目 : 池山吊尾根登山口→奈良田→身延駅→甲府駅

1日目の記録

今年の正月休みは大晦日まで出勤のため、たったの4日間。北海道の田舎に帰省するには短すぎてゆっくりできないため、今年の正月は白根三山を縦走する事にした。関東は冬型の気圧配置で連日晴れが続き、トレースも確実にあるだろうし、自身も3年前のGWにこのルートを歩いて下見済みである事から迷う事なく登る山が決まった。

会社を定時で上がり、晩飯を食べて風呂に入って着替えたらさあ出発・・・と思ったが、4日分+αの食材と冬山装備を含めたザックが27kgと重くて先が少し不安になる。立川駅から特急かいじの自由席に乗り込むが、車内は山梨・長野県への帰省客で一杯。何とか次の八王子駅で座る事が出来て疲労なく甲府駅に到着することができた。

甲府駅前からすぐにタクシーに乗り込み、夜叉神峠に向かう。もう既にタクシーは深夜料金の時間であり、カウンターがどんどん上がっていくが、運転手が1万円になったところでカウンターを止めてくれたため、夜叉神峠まで夏シーズンより少し高い1万円で行くことができた。

車止めのゲートを横から通過し、車道を歩くとすぐに夜叉神トンネルが見えてくる。この時期の夜叉神トンネルは完全にシャッターが閉まっており、左側に通過用の扉がある事は調査済みであるが、扉を開けると人一人しか通れないように鉄格子が溶接されており、ザックを背負ったままでは鉄格子をすり抜けられないようになっていた。とりあえずザックを降ろして自分だけトンネル内に入ってみるが、外にあるザックをどうやっても中に入れられない。どうやらザックをスリムにしなければ中に入れられないようだ。今日は鷲住山の登山口にテントを張るつもりだったが、ザックの荷物の出し入れが面倒くさいので、今日はトンネル目の前の空きスペースにテント泊して、翌朝ザックをスリムにしてから中に入れる事にした。甲府の夜景を眺めながらテントを張り、シュラフに入って早々に寝た。

06:36 鷲住山登山口

今年の初夢は縁起のよい夢ではなく、夜叉神トンネルで落武者に追われる夢だった・・・。しかも1時間毎にこの夢でうなされて目覚め、更には明け方に金縛りにあい、もう二度とトンネルの近くでテント泊するのは止めようと思うのであった。5時半に出発。テントとシュラフが入っていないザックを鉄格子の間に通して無事課題はクリアし、1.2kmある真っ暗なトンネル内をヘッドライトを付けて歩いて行く。トンネル内ではプラスチックブーツの固い足音が響き渡り、今朝見た夢のせいもあり、終始ヒヤヒヤしながらも何とかトンネルを通過する事ができた。車道といくつものトンネル歩きを繰り返すと鷲住山の登山口に到着。
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06:52 鷲住山山頂

登山口から今回初の斜面に足をかけると、背負っているザックの重量が足へと伝わり体が「無理!」と発しているような感じがしたが、ここまで来たら行くしかない。登れなければピストンして帰ってこようと最初から諦めモードで歩く。斜面を登りきると、昭和の風情漂う山頂に到着。
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07:43 野呂川吊橋

鷲住山から勿体ないほどの標高を下って野呂川吊橋に向かう。
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07:43 野呂川吊橋

野呂川吊橋に到着。吊橋を渡って対岸に移動する。
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08:30 池山吊尾根登山口

野呂川吊橋を渡った先に野呂川林道に登り上げる急斜面の登りがあるのだが、道がボロボロに崩れて酷い有様で木を掴みながら登らないといけないような箇所があり、デカザックを背負った登山者は相当辛い。前回も思ったが、今回のルートで一番の難所と言われる八本歯ノ頭~コル間の通過よりも、僕は野呂側吊橋後の道路への登り上げのほうが怖いと思った。何とか野呂川林道に達し、車道とトンネル歩きを繰り返し進んでいく。途中で黒いホースから水が流れている箇所があるのだが、半分凍っていたが何とか水を確保することができた。そのまま歩みを進めると池山吊尾根登山口に到着。
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12:53 池山御池小屋

池山御池小屋へと続く登山道は相変わらず急斜面であり、また標高2,000m位までは登山道に雪が積もっていないため、プラスチックブーツで登るのが非常に辛い。歩みは亀よりも遅く、前回は登山口から3時間弱で池山御池小屋に着いたのだが、今回は4時間弱もかかってしまった。前回登った時よりも体重が7kgも重くなっているので仕方が無いのだが、今思うとこんなメタボ体型で正月とはいえ冬に北岳に登るのは本当に馬鹿な事をしたもんだと思った。前回はさらにこの先の城峰まで移動してテント泊したのだが、体が「無理!」と言っているので、少し早いが今日は池山御池小屋に小屋泊する事にした。小屋には昨年11月に同ルートを下見済みで福岡から来た男性、夜叉神トンネルの出口が開いているか不安になり、夜叉神峠を越えて鷲住山登山口に辿り着いた男性、超軽量装備の外人さんと僕の計4名が宿泊。テントは4~5張位だった。外人さんは日暮れ後に小屋に到着し、持っている装備が全て日本では見た事のない装備(当たり前だが)で珍く興味津々で見ていたが、これまた見た事のないガスバーナーがパッキンが悪いのかガス漏れを起こして暴発。福岡の男性がガスバーナーを貸してあげて事なきを得たが、誰もいなければ水すら作れないので、冬山を登る際には装備の事前チェックが重要だなと思った。
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池山御池小屋へと続く登山道には、竈跡のようなものがあった。

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池山御池小屋手前の広場。疲れて池山小御池屋の写真を撮り忘れたが、前回登った時のパノラマはこちら

2日目の記録

07:40 吊尾根末端

状況を見て縦走する予定なので、ザックを背負って06:30頃にアイゼンを履いて池山御池小屋を出発。ここからは雪道歩きとなるが、年末からかなりの登山者が入山しているようで、トレースはバッチリ。一緒に小屋に泊まった男性2名が先に見えるが、あっという間に見えなくなり、やっぱり自分の足が遅い事に気付いてショックで痩せようと決意するが、記録を書いている今も大して体重が変わっていなかったりする。吊尾根手前の急斜面もトレースがバッチリで階段のようになっており、大して苦労せずに吊尾根の末端に登り上げる事ができた。
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吊尾根手前の急斜面

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吊尾根の末端。ここからは北岳まで尾根歩きが続く。

10:03 ボーコン沢ノ頭手前標高2,700m付近

完璧に踏み固められたトレースを辿って順調に尾根道を登っていくと、ボーコン沢ノ頭手前で昨日一緒に池山御池小屋に泊まった男性が降りてきた。話を聞いてみると風が強く怖いのでこのまま下山するとの事であった。自分よりも足が速い人が下山するのを見て少し不安になるが、周りに影響されて自分の判断を変えると過去の経験上あまり良い思いをした事がない。とりあえずボーコン沢ノ頭まで行ってから今後の判断をする事にする。男性が言っていた通り、ボーコン沢ノ頭に到着すると待っていたのは体が吹っ飛んでしまいそうな位の強風だ。とりあえず風が強くて寒いので少し戻って携帯電話で情報収集すると、何とiモードはNGだがワンセグが利用可能だ。ニュースで天気予報を見ると、明日の天気は「晴れ」との事だ。そうしている間も北岳から平気で下山してくる人もいるし逆に登って行く人もおり、判断に迷ったが、北岳・間ノ岳方面がガスに包まれてきた事が決め手となり、標高2,700m付近の低木の樹林帯にテントを張って停滞する事に決めた。今日ここに停滞する事で予備日が無くなり、白根三山の縦走は諦め北岳ピストンに切り替える事となった。
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稜線上からは鳳凰三山の展望がバッチリだった。

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強風+ガスで完全にやる気をなくして停滞を決断した。

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翌日撮影の標高2,700m付近のテント泊地点。スコップで地ならししていたらウ〇コが出てきて焦るが、取り除いて何とかテントを張る事が出来た。笑

3日目の記録

06:48

北岳ピストンに切り替えたら日程に余裕が出来たため、早立ちせずに完全に日が出てから出発する事にする。温かいスープを飲みながら朝食のパンを食べて、06:50に出発。
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07:11 ライチョウ

モルゲンロートに包まれる斜面を登っていると、かなり遠くに冬毛をまとったライチョウを発見。木が邪魔~。
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07:37 ボーコン沢ノ頭

ボーコン沢に到着すると目の前に北岳が山容が飛び込んできた。パノラマ写真を撮影したいがフレームに太陽が入るため、下山時に撮影する事にして先に進む。ちなみに、昨日程ではないが相変わらず風が強い。

ボーコン沢ノ頭のパノラマ写真を見る(下山時に撮影)

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北岳をズームで撮影。登山道に人(真中)が歩いており、北岳と比べると人間なんて点の存在だ。

08:12 八本歯ノ頭に向かう

ボーコン沢ノ頭は風の通り道となっているようで、先に進むと風が弱まってきて、快適に歩く事が出来た。
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08:40 八本歯ノ頭

八本歯ノ頭に到着。今日はサブザックで荷物も軽く身のこなしが利くので難しくはなかったが、20kg以上のザックを背負って強風に吹かれたら歩ける自信はない。ちなみに以下の写真は3枚の写真を合成して作成した縦型パノラマ写真。写真にすると大した下りでもないように見えるが、実際に見るとそれなりに急な斜面です。

八本歯ノ頭のパノラマ写真を見る(下山時に撮影)

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08:56 八本歯ノコル付近

八本歯ノ頭を下って、八本歯ノコルに到着。階段を利用させてもらうが、階段にアイゼンの歯が突き刺さってメンテナンスして頂いている方に申し訳なかった。
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09:47 吊尾根分岐

八本歯ノコルから再び登山道を登り、北岳山荘へのトラバース地点に到着する頃には腹が減ってガス欠状態。トラバース地点で小休止後、我慢して吊尾根分岐まで登る。
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09:56 北岳山頂直下

「腹減った・・・。」と思いながら我慢して山頂直下の氷化した斜面をアイゼンを利かせて登る。
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10:09 北岳山頂

北岳山頂に到着。メタボ気味体型でも何とか冬の北岳に登頂できた(トレースが無かったら登れないが・・・。)。山頂からは北アルプス、中央アルプス、南アルプス、富士山、八ヶ岳が見える360度の大パノラマが広がり、凍傷にならないように気を付けながらお決まりのパノラマ写真を撮影する。今回で北岳に登るのは7回目だが、やはり冬というのもあり、今までで一番空気が澄んでクリアな景色を望む事ができた。また、富士山の右側には駿河湾が見え、北岳から海が見えるなんて想像もしなかったので、本当にびっくりした。

北岳山頂のパノラマ写真を見る1 北岳山頂のパノラマ写真を見る2

北岳山頂のパノラマ写真を見る3 北岳山頂のパノラマ写真を見る4

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北岳山頂より八ヶ岳を望む。

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北岳山頂より塩見岳を望む。

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北岳山頂より仙丈ヶ岳を望む。

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北岳山頂より中央アルプスを望む。

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北岳山頂より富士山を望む。今まで北岳から見た富士山の中で一番はっきりと見えた。

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北岳山頂からは穂高岳や槍ヶ岳も見えた。

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北岳山頂からお決まりの構図で間ノ岳を撮影。

11:20 八本歯ノコルへ下る

山頂で展望を楽しんだら、パンを食べて腹ごしらえして下山する。
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11:31 八本歯ノ頭付近

八本歯ノ頭付近から間ノ岳を撮影。結局今回も縦走出来なかったが、夏でも冬でもよいのでいつか必ず縦走しよう。
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八本歯ノ頭を登る。

12:31 標高2,700m地点

テントに戻って、テント内の散らばった登山道具をまとめてパッキング。これが面倒くさい。
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13:43 池山御池小屋に下る

後片付けするのが苦手なので、何だかんだでテントを撤収するまでに1時間もかかってしまった。登山口まで下山出来るかどうか微妙な時間だが、富士山にお別れしてひたすら下る。
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14:44 池山御池小屋

冬山の下山は早い。1時間程下ると池山御池小屋に到着。明日は長い車道歩きが待っているので、今日のうちに少しでも先に進んでおきたい。登山口まで行けば水を作らずとも確保できるし、このまま下山する。
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16:50 池山吊尾根登山口付近

昨日のテント泊地点から殆ど休まずに下山していたが、さすがに登山口付近では体重を支えられなくなり何度かコケそうになった。登山口には、明日から登る大学生グループがテント泊しており、水汲みに出ていた男性と少し話をして、登山口から奈良田側に少し行った所にあるホースから水が出ている地点にテント泊する。明日は奈良田に下るだけなので余っている食材を沢山食べようと思ったが、疲れていて喉が通らず7時には爆睡していた。
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4日目の記録

07:18 奈良田に向けて出発

今日は野呂川林道を12km歩いて奈良田のバス停まで移動するだけだ。ザックを軽くするため朝食を沢山食べてから出発。
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07:41 野呂川林道より鷲住山

結局今回も白根三山を縦走する事は出来なかったので、また鷲住山を登る事になるような気がする・・・。
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09:17 こごみ滝

プラスチックブーツで車道を歩くのは非常に辛いのだが、コツを覚えるとテンポよく歩けるようになり(歩き難い事には変わりは無いが)、一度も休憩せずに2時間歩き通す事ができた。凍ったこごみ滝の写真を撮影して、休憩せずにそのまま進む。
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09:51 開運トンネル

開運トンネルを越えると奈良田が近いのだが、ゲートが前回登った時よりも高さが2倍になっており(前回の写真はこちら)、しかも正面からは越えられない作りになっており参った。こういう時に単独行は辛い。とりあえずザックを背負ったままサイドから越えられるか試してみるが、プラスチックブーツで足場が滑って怖いので半分だけ登ってザックを放り投げる。ザックが無ければ越えるのは大して難しくもなく、何とかゲートを越える事が出来た。が、買ったばかりのグレゴリーの4万円もするデカザックに2箇所も穴が空いてしまい、ザックを放り投げた事を後悔して泣きそうになった。最近のザックは生地が薄くてこればかりは計算外だ。ミレーのグランドキャプサンならこれ位では穴なんて空かないのに・・・。くっそー。
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※ゲートを越えてから撮影

10:13 奈良田

開運トンネルを越えて再び車道を歩いていくと奈良田に到着。後は温泉に入って飯を食べてバスに乗って帰るだけだ。とりあえず温泉と飯を食べられる奈良田温泉に向かう。
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10:22 奈良田温泉

縁側にザックを置いて、駆け足で温泉に向かって入るが、ぬるくて全く体が温まらなかった。温泉から上がって食堂に行くと、池山御池小屋で一緒に泊まった福岡の男性がおりびっくり。指が凍傷で真っ黒になっていたのには驚いたが、白根三山を無事縦走し終えたとの事で喜びを分かち合う。ちなみに僕が「状況を見て北岳山荘に向かう」と伝えていたため、僕が北岳山荘に来なかった事で心配していたそうだ。二人で一緒に山の話をしながら食事を食べて、この後は13:30奈良田発のバスで身延駅に向かい、身延駅から電車に乗って東京に帰った。
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鹿焼肉定食。ご飯は通常で大盛で肉も大ボリュームで超美味かった。